■世界のパドルレース
アジア地方には、沖縄のハーリーに良く似たボートレースが数多く存在します。それらの一つ一つがハーリーと同じように長い歴史と文化があり、隣国の影響を受けながら各国独自のパドル文化を築きあげてきました。
その繋がりは、沖縄発祥の空手、日本の柔術、韓国のテコンドー、タイのムエイタイ等の、アジア各国の武術が、中国やインドの武術の影響を受けながら独自の武術を形成し、発展していった流れに大変良く似ていると言えるでしょう。
長崎県のペーロンも中国から伝わったもので、「白龍」の中国語読みである「パイロン」が訛って伝わったものと言われています。そのルーツは、1655年に長崎に停泊していた中国船が海神を慰めて暴風雨を鎮めるために港内で競漕を行ったのが始まりとされています。最初の頃は、鯨舟やインコロ舟などの漁船を使用していましたが、その後ペーロン専用の舟が作られ、昭和初期に現在の形に落ち着いたと言われています。
また、隣国の韓国でも、ドラゴンボートレースは、1000年近くの歴史を持つと言われており、韓国にとって極めて重要な文化の一つとして、国民に親しまれています。
インドでは、スネークボートレースと称する、全長60メートル・100人乗りの世界最大の手漕ぎボートレースが存在します。8月の第2土曜日に、インド南部ケララ州の収穫祭「オーナム」と並行して執り行われ、各村から1艇づつ出場します。
勝てば賞金約30万円がもらえるが、負ければボートレンタル料・練習費・漕ぎ手への報酬などを支払わなければならないため、負けるわけにはいかない壮絶な戦いが繰り広げられます。また、独立インド初代大統領のネルーの名前のつく名誉のかかった大会と言うこともあり、賞金以外にも名誉をかけた真剣勝負が繰り広げられます。
タイのスワンボートレースは、舟頭が「龍」ではなく、「鳥」の形状をしています。競技性と認知度が高いためか、毎年、世界大会も行われており、アジア諸国はもちろんのこと、欧米からもドイツ、イギリス、アメリカ、オーストラリアなどの代表チームが参戦します。
スワンボートと言っても、50人乗りのトラディショナル(伝統ルール)(漕ぎ手50名、舵取り1〜2名、リズム係り)とインターナショナル(国際ルール)(漕ぎ手20名、舵取り1名、リズム係り)の2種類があります。20人乗りのボートの形状は、ドラゴンボートに似ているのですが、ステアーマンはアウトリガーカヌーのように舵とパドルを両立します。
ミャンマー(ビルマ)では、雨季あけの季節の始まりとともに(9月下旬〜10月上旬)、インレー湖にて国内最大のお祭りが催されます。カラウェイと呼ばれる伝説の鳥の形をした船に仏像を乗せて湖畔の村々を巡ることから、カラウェイフェスティバルと呼ばれています。
そのフェスティバルの最大の目玉が、初日と最終日に行われるボートレース。その漕ぎ方は片足をカイに絡ませ、残り足で立って船をこぐ、インダー族独特のもので約50名もの男女が、列をなして片足で舟を漕ぎ、声を合わせながら、速さを競う様子は世界広しといえど、この地方だけではないでしょうか。